日本がWBCで負けた夜、コポーが広場に座り込んでいた。
「負けた」
「負けたな」
タッチーが隣に来て、空を見上げた。星が出ていた。
「悔しい?」
「悔しい。でも……」
靴の日に、タッチーは新しい靴を買いに行って帰ってきた。
「どうだ。完璧なフォルムだろう」
コポーが覗き込んだ。靴は確かに高級そうだったが、タッチーの長すぎる足の先が、靴の一センチほど飛び出していた。
砂糖の日なのに、ソンチョーはお茶に砂糖を入れなかった。
「今日は苦いままがいい」
コポーが隣に座り、湯飲みを覗き込んだ。
「なんで? 苦いの嫌いじゃない?」
三月の風が駅前広場を吹き抜け、まだ開かない桜のつぼみが枝の先でぎゅっと身を縮めていた。
「……届かない」
ミニコーが踏み台代わりにした石の上から、掲示板の高い位置に向かって精一杯手を伸ばしていた。「ねえさんへの誕生日カード」と書かれた紙。住所の欄には「世界中のどこか」と書いてある。