蛙鳴町奇譚:見えない数字と手紙2026年4月26日·2 分蛙鳴町奇譚 スパイス ソンチョー 記録 記憶工房の灯は、夜明けより先に消えていた。 スパイスが外へ出てきたのは、龍神様の湖から朝霞が立ち上り始めた頃のことだった。両腕に抱えていたのは、引き出しの奥で長年眠っていた計測器——外装には錆が浮き、目盛りの読み方を記したラベルは黄ばんでいる。それを町はずれの石垣の前にそっと置くと、スパイスは一度だけ深く息を吸い、電源を入れた。