茅の輪のむこう2026年6月30日·3 分蛙鳴町奇譚 ビピク キリガミネン 夏越の祓 満月 龍神様 夏梅雨の最後の雫がまだ草の先に残る夕暮れだった。 龍神様の祠の石段の下に、茅の輪が立っていた。青草を編んだ輪はビピクの肩幅の三倍ほどもあり、夕霧の中にぼんやりと浮かんでいる。傍らの竹籠には白い紙の人形が几帳面に折り重なっていた——形代だ。半年に一度、この日の夕暮れに、祠へ向かう道を住人たちが歩いていく。