蛙鳴町奇譚:梅雨明けの紅い星2026年7月26日·3 分蛙鳴町奇譚 ソンチョー モッチー ケロミ 梅干し 土用干し長い雨が、ようやくその蒼い糸をするすると巻き上げた朝であった。空はにわかに藍から瑠璃へと変わり、入道雲が銀河の縁のようにむくむくと盛り上がっていく。蛙鳴町の裏庭では、竹のザル一面に敷き詰められた梅の実が、ひと月ぶりの陽光を浴びて、ぴかりぴかりと光っていた。塩と紫蘇に漬け込まれ、暗い甕の底で息をひそめていた実たちが、今日という日にだけ、素っ裸で空に会う。それは小さな、小さな夏至祭であった。