八本足の祈り2026年7月2日·2 分蛙鳴町奇譚 コポー モッチー ソンチョー 半夏生 田んぼ うどん七月の田んぼは、熱と泥と青い匂いに満ちていた。 「コポー、もう一束だ」 モッチーの声は、いつも命令より確認に近い。コポーは「う……」と唸りながら泥に踏み込み、早苗の束を受け取った。ズブリ、と足首まで沈んだ。思っていた以上に深かった。