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モッチー

2026

揚げたての誓い

石橋の向こう、コロモ屋の軒先から揚げ油の香りが漂ってきた。 コポーは堤防の石に腰かけたまま、その方向を一点集中で眺めていた。春の連休最後の夕方、龍神様の湖の方からのんびりした風が来て、しだれ桜の新芽をゆらした。油の香りが波のように押し寄せて、鼻のあたりを揺さぶる。

八十八夜の雫

朝露がしだれ桜の葉先に溜まり、池の面に落ちた。空の西にはまだ満月が白く浮かんでいる——北のどこかの人たちが「フラワームーン」と呼ぶ、五月の丸い月だ。東の稜線は橙色に染まり始めているのに、月はまるで居残りを決め込んだかのように、黙って蛙鳴町を見下ろしていた。

タスキの重さ

春の霞が龍神様の湖から石造りの橋まで流れてくる、静けさに満ちた朝だった。 「見ていろよ、今日こそ俺が……!」 コポーは荷物袋の端切れで縫い合わせた布の帯を首にかけ、一人で広場を走り出していた。ゴールは決まっていない。ただ届けたい場所があった。

どっしり大仏と、心の塗り壁

蛙鳴町の空は、春の霞がかかったような柔らかな白に包まれていました。 4月9日。今日は「大仏の日」であり、また「左官の日」でもあります。 町の広場では、モッチーが目を細め、蓮の花のような形に組んだ石の上にどっしりと座り込んでいました。その姿は、まるで町を守る本物の大仏のようです。