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オヒサマ

2026

ビワひとつぶんの言葉

ビワの実が熟れはじめる、初夏の午後。コポーは石橋のたもとで、白紙のノートの前に座り込んでいた。 「……書けない」 三度目の書き出しを消した跡が、紙をうっすら毛羽立たせている。今日が恋文の日だと気づいたのは、ミニコーが新聞を折りながら「五の二の三、こいぶみ、だって。兄ちゃん、読みやすいね」と呟いたからだった。

翻訳できない「キャー」と、一粒の勇気

蛙鳴町の駅前広場。コポーは、エンジニアのスパイスが都会から取り寄せたという、最新の「感情翻訳バッジ」を胸につけて震えていました。 「スパイス、これをつければ……僕が女の子の前でモジモジしていても、僕の『真のカッコよさ』が自動的に翻訳されて伝わるんだな?」 「……理論上はな。対象の脳波と心拍数を解析し、最も適切な言語に変換してスピーカーから出力する。君の空回りするフラストレーションも、これで解消されるはずだ」