龍神池を見下ろす丘は、まるでピンク色の絨毯を広げたように、満開のつつじで彩られていた。
「うひょ~!」
コポーは、その鮮やかな景色に心を奪われ、歓声を上げながらつつじの茂みへと駆け寄った。彼は、子供の頃からつつじの花の根元にある甘い蜜が大好きだったのだ。夢中になって花に顔を近づけ、蜜を吸い始めるコポー。その足元には、すでに役目を終えた花びらが無造作に散らばっている。
その様子を見ていたビピクは、少し眉をひそめた。
「コポー、そんなにたくさん採ったら、つつじが可哀想だよ。」
隣でキザなポーズを決めてつつじを眺めていたタッチーは、腕を組みながら言った。
「そうだよ、コポー。このつつじには祟りがあるって言い伝えもあるんだぞ。昔、欲張って蜜を吸いすぎたカエルが、酷い目に遭ったらしい。」
しかし、コポーは二人の忠告などどこ吹く風。
「大丈夫だって!こんなに綺麗なんだもん。ちょっとくらいじゃ祟られないって!」
と、さらに夢中で蜜を吸い続けた。楽しいピクニックを終え、家に帰ったコポー。その夜のことだった。
「うわあああ!祟りだあああ!」
と、けたたましい叫び声が家中に響き渡った。腹痛に襲われたコポーが、お腹を抱えてベッドの上で悶え苦しんでいるのだ。心配して駆け寄ってきた弟のミニコーが、兄の苦しそうな姿を見て呆れたように言った。
「兄ちゃん、だから言わんこっちゃない。つつじの蜜は少しだけにしとけって。あれにはちょっと毒があるんだから、取りすぎるとお腹を壊すんだよ。」
ミニコーの言葉に、コポーは青い顔でうめいた。
「え…、そうなの?誰も教えてくれなかったじゃないか…。」
タッチーの言った「祟り」ではなかったけれど、コポーはつつじの蜜の恐ろしさを身をもって知ることになったのだった。
