春分の日は、昼と夜の長さがほとんど同じになる。
ビピクがしだれ桜の下でヨガのポーズを整えながら、ソンチョーに聞いた。
「完璧でも不完全でもない日って、あると思う?」
「今日がそうじゃよ」
ソンチョーが桜餅を包みから開けながら言った。
「昼と夜が半分ずつ。どちらが勝ちでも負けでもない。この世界が一番正直な顔をする日じゃ」
ビピクが空を見た。雲が薄く、光が平らに広がっていた。完璧な晴れでも曇りでもない、中間の空だった。
「そういう日って……楽だ」
「毎日そうだと楽すぎる。だから年に一度だけなのかもしれぬな」
ビピクが初めて、ポーズを崩して座り込んだ。桜餅のかけらをもらって口に入れた。
味は、甘かった。
余白: ビピクはその日だけ、自分の影を気にしなかった。
【本日の雫】
- 春分の日(3月20日): 国民の祝日。昼と夜の長さがほぼ等しくなる日。自然をたたえ、生物をいつくしむ日とされている。