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  1. 蛙鳴町(あめいちょう)奇譚/

世界で一番長い足の靴

靴の日に、タッチーは新しい靴を買いに行って帰ってきた。

「どうだ。完璧なフォルムだろう」

コポーが覗き込んだ。靴は確かに高級そうだったが、タッチーの長すぎる足の先が、靴の一センチほど飛び出していた。

「……はみ出てる」

「細部は気にするな。全体の美しさを見ろ」

「絶対つまずくじゃん」

「美しさとは時にリスクを伴う——」

言い終わる前に、石に足を取られてタッチーが倒れた。

コポーが笑い、タッチーが咳払いをした。

「裸足の方がよくない?」とコポーが言った。

タッチーがしばらく沈黙した後、「……それはそれでキザかもしれない」と呟いた。夕暮れの広場に、二つの笑い声が混ざって消えた。

余白: その夜、タッチーは靴の中敷きを自作し、足の先がぴったり収まるよう調整した。誰にも言わなかった。


【本日の雫】

  • 靴の日(3月15日): 1870年3月15日、日本初の西洋靴の工場が設立されたことにちなむ記念日。