二月の終わりの空は、日が落ちた後もしばらく薄桃色が残る。
龍神様の池の端で、コポーは息を白くしながら西の空を見上げていた。夕暮れの残光の中に、光の点が一つ、また一つと灯り始めた。数えようとして指を立てるが、二月の空気が冷たくて、すぐに引っ込めてしまう。
「六つ並んでる。珍しいよ」
背後の欄干から、低い声がした。
ハッシーが翼をたたんで止まっていた。いつからそこにいたのか、コポーは気づかなかった。
「翼の骨が、朝からずっと痛むんだ。特別な夜の前はこうなる」
「……あの星、食べられますか」コポーは半分本気で聞いた。
「さあ。でも六つが全部、今夜だけ同じ方向を向いてる。それぞれ全然違う軌道を回ってるのに」
ハッシーは首をかしげ、池の水面を一瞥した。光の点が水の揺れの中でゆっくりと滲んでいる。
「向いてるだけ?」
「向いてるだけ。だが——」
翼をひとつ震わせ、ハッシーはゆっくりと飛び上がった。
「高いところから見ると、ちゃんと一直線なんだよ」
声は夕空に溶け、コポーだけが池の畔に残された。息が白く散る中、六つの光はまだそこに、黙って並んでいた。
余白: その夜、コポーは「翼の骨」のことを考えながら、自分の膝をそっと押してみた。
【本日の雫】
- 惑星直列(惑星パレード): 2026年2月28日の夕暮れ、水星・金星・木星・土星・天王星・海王星の6惑星が地球から見て一列に並ぶ天文現象が起きた。日没後の西の空に点々と並び、高い視点からは一直線に見えた。このような6惑星以上の整列は数年に一度しか起きない珍しい光景。